シリーズ5 構造編 ~新潟市リフォーム工事進捗~
こんにちは、ハーバーハウスグループ。
リフォーム部署:ハーバーリフォームの野瀬です。
市内では栗の木バイパスの工事が進み大きな柱が完成してきましたね。
バイパスの下をくぐる時に、こんなに柱が離れてるのに上の道路が落ちてこないのはすごいな~と感心することがあります。
きっと綿密な構造設計の結果、「これは安全だ!」ということになっているんでしょうね。
私が一番初めに体験した構造設計は
「A2サイズの厚紙1枚で1kgの重りを10個載せることができる橋を作る」というものでした。
橋もバイパスも形はほぼ同じですね。
橋が潰れたり、バランスを崩して倒れたり、重りが落ちたら失格です。
失格にならないように一生懸命考えて橋を作った思い出があります。
橋の構成を住宅に置き換えてみると柱と梁に見えますね。
橋の製作は柱と梁を設計する授業だったんですね。
この遊びのような授業は構造設計の基本が詰まっているように思います。
材料はどの形で使えば強くなるのか?、そして紙を使う面積が小さくて済むのはどの形か?
考えることはたくさんあります。
まずはどんな形の梁にするのか。
考えられる形はいくつかありますね。少し紹介していきます。
①切ったそのままを横にして使う
紙はペラペラですから真ん中が大きくたわみます。
それに引っ張られて柱が内側に倒れてしまうだろうと予想できます。
もしも柱が机に強力にくっついて離れなければ何とかなりそうですが怒られそうです。
紙は引っ張っても中々ちぎれませんが、割くようにすれば簡単にビリビリにできるのは何となくイメージが湧きますよね。
柱さえ動かなければ紙の長所の引っ張りへの強さを生かせそうです。
柱を机に接着する作業は
住宅に置き換えると土台と柱を固定するホールダウン金物の取り付けです。
柱が安定しているということはとっても重要なんですね。
②切ったそのままを縦にして使う
私はこれにしました。
縦に使うことで先ほどのたわみによる柱の転倒は防げそうです。
しかしペラペラなのは変わりません。
1枚立てたところでは重りを乗せることはできそうにもないですし、本数が少ないと紙が横にはらみだしてしまいます。
そこで何本も柱に突き刺して幅を広げてみました。
すると上からの重さへの強度はピカイチでしたが材料が足りなくなり
重りを載せるところが細くなってしまいました。
結果は大苦戦でした。
③折り曲げて四角にする
紙の弱点である薄さを無理やり解消するアイデアですね。
四角にする分、縦の長さは②に比べて増やしにくいので上からの強度は②よりも低そうです。
それでも10kgに耐えさえすればいいのでこれで耐えるなら③がベストな気がします。
余ったどうしようもない切れ端を梁の中に詰め込む技も使えそうです。
さて形の候補が出そろってきたところで強度を計算してみます。
使う紙の幅を4㎝にしてみると①~③の断面はそれぞれこうなります。
※図は㎜で表記しています。
この断面を元に”断面係数”を使って強度を計算します。(※断面係数:気になる方は検索してみて下さい。)
計算の結果はこちら。
②:1番強く③の約3倍の強度
③:2番目で①の約12倍
①:最も弱く1番強い②の約40分の1程度
それにしても同じ材料を使ってここまで差が出るのは驚きですね。
ではなぜ最も強度がある紙の使い方をしたのに私は苦戦を強いられたのでしょうか?
その原因を考えていきます。
まず1つ目は梁の間隔を狭くしすぎたことが考えられます。
家作りで言うならば過剰に梁を架けた結果、お金が足りなくなってしまった状態です。
資金は限られていますから材料の有効利用はとても大切なことですね。
2つ目は梁の高さを高くしすぎたこと
梁の圧縮強さを計算すれば適切な高さが計算できます。
適当に高さを決めたため、不必要なまでに強度を高めてしまった可能性があります。
最後に②の方法の一番の弱点である紙のはらみだし
こののために強度は最も高くても構造体としては不十分なものになってしまいました。
その点でいうと③の四角ははらみだしに強い形になっています。
実は③は成功する挑戦者の多かった形でした。
今回紹介した3つの形の中で最も強度、安定性、材料コスパの3つの点でバランスの取れた形だったんでしょうね。
次回も引き続き構造について書いてみようと思います。
来月のブログもお楽しみに~
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弟が寝そべって寛いでいるところ体重5キロに迫ったネコに乗られてしまいました。
少し苦しいけど悪くはないといった苦悶の表情の裏からネコ愛がちらりと顔を出していました。